2020年6月2日

1週間くらい前に『映画クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』を観た。励まされた。過去を含んだ今が未来へ向かっている実感があって、時間が繋ぎ止められた瞬間みたいのが分かった。感動した。

 

去年の秋か冬だったか忘れたが、村上春樹にハマり初期三部作を読んでいたときに、「時間」に対してネガティブな思考になってしまった。作中の「僕」が色々なものを失うので、「時間」の中に“失ったもの”が含まれていると感じたからだと思う。24年間生きてきて数え切れない程の人や物に触れてきたのに、全てを覚えていないことが悲しく思えた。いつだか友人とお酒を飲みながら話した内容も、昨日観た映画さえ全てを鮮明に思い出せない。近い記憶から遠い記憶まで過去の出来事に対して自分が記憶していることがあまりにも少ないということに、失ったと思ってしまい今の自分に自信を持てなかった。得てきたものより失ったものの方が多く感じた。

 

そんなことをその頃は考えていて、その事は分からないままになっていて少ししたら忘れていたが、しんちゃんを観たときにコレだと思った。大事にするのは“過去”の出来事ではなくて、“過去”に何かを感じた実感を思い出してる“今”が大事で、その“今”を大事にすることが“未来”を開く可能性だということ。つまり"今”は全てを含んでいて全てを繋げる可能性があると思った。

 

当たり前に記憶というのは虚構でしかないと気づいた。自分が頭の中で必死に映像をイメージしてみてもそれは実際の映像とは異なる。

 

それでも何度となく友人に何かを運ばれた実感があるし、そのイメージに今まで助けられていたと思い出せた。夕日を眺めて隣りにいない友人のことを考える。

失ったものなどないと思う。

 

バイトに行くときに見た夕日。

f:id:alteraketedobby:20200602213810j:image