夜勤の休憩の間に散歩をした。通りがかった公園に猫がいたので近くのベンチに座ってしばらく眺めてみた。猫ははじめの間はこちらを伺っていたが、敵意がないと分かると地面に寝転んで自分の毛を舐めることに没頭しはじめた。猫に近づきたいけど術が分からないし猫を撫でたりあやしたりした経験がほとんどないのでよく分からない。手招きしてみたが何も伝わってないのかただ見つめ合っていた。たまに野良猫の扱いが上手い人がいるが、どうやって言語を介さず意識の世界で近づき合えるのかと考えていた。猫に限らず生き物全般での話しになるなと思った。猫はしばらくして立ち上がり公園を出て歩道をゆっくり歩き始めた。自分もさり気なく後をついて行くと、猫は途中で止まって後ろを振り返りこちらを見てきた。自分も止まって見つめた。人間の世界なら不審者だと思われるけど、猫には自分がどう写ってるのか不思議だ。暫くして猫は小走りで、歩道の向かい側にあった大きな門がある家の隙間に消えていった。蚊に刺されたみたいで腕が痒いことに気付いた。

中学2、3年のときの担任の先生のことを思い出した。その先生がよく言うセリフがあった。廊下を走ったり、ワイシャツの第二ボタンまで開けていたり、ワイシャツの裾をズボンから出しているとこを見つかると呼び止められて、「お前の頭は飾りか」と思いきりデコピンされ、痛がると「生きてる証拠」と笑っていたことを思い出した。